191117Q『書くための名前のない技術 case 2 Marieさん』
https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41p1H60XjHL._SY346_.jpg https://www.amazon.co.jp/dp/B081KZC789/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E6%9B%B8%E3%81%8F%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%90%8D%E5%89%8D%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%84%E6%8A%80%E8%A1%93+case&qid=1573965157&s=digital-text&sr=1-1
「文章の書き方」についての本は世の中にたくさんあります。いわゆる「知的生産」を扱う本もその範疇に入るでしょう。でもそこに書かれていることがすべてではないだろう、という思いがずっと拭えませんでした。
長年アウトライン・プロセッシングについて考える中で学んだのは、文章を書く方法は人の数だけあるということです。「文章の書き方」として紹介されるような方法はもちろん役に立ちます。しかし文章を書く上でそれらと同じくらい重要な役割を果たしているのは、一般化できない属人的な技術なのです。ひょっとして書いた本人にさえ意識されていない、小さくて具体的で現実的な何かです。 それはツールの使い方のこともあれば、ワークフロー上のちょっとしたコツのこともあれば、心構えやマインドセットのこともあるでしょう。「技術」というよりは「工夫」の範疇に入るものもあるかもしれません。
そんな名前のない技術たちに陽が当たることは通常ありません。本に書かれることもないし、「○○法」というような名前を付けられることもありません。なぜならそれらは「取るに足らないこと」と思われているからです。でも現実の執筆では、こうした名前のない小さな技術が煮詰まった状況をブレイクスルーさせてくれることが多々あるのです。
そんな個人的な「書くための名前のない技術」に光を当てたい(そして自分が学びたい)というのが、このインタビューの第一の目標です。人の数だけある属人的なものだからこそ、いったん光が当たれば他人の役にも立つ(ことがある)はずです。
Case 2は語学学習やタスク管理・ノート術などの分野で著名なブロガーであり、セルフパブリッシング、商業出版それぞれでヒットを飛ばすMarieさんです。
===本書の目次===
Part 1 Marieさんインタビュー
書き手としての活動
セルフパブリッシングから商業出版へ
最初の商業出版
いろいろやっているうちに実現する
コンスタントに何か書いていた
書くための道具と環境
作業環境としてのダイニングテーブル
Wordのアウトラインモード
書くための技術とプロセス
たまった素材の中から何を書けるか考える
ブログのタイトル一覧をジャンルに振り分ける
記事の本文をWordのアウトラインに取り込む
移動して組み替えて「あ、こんな章があってもいいな」と
アウトラインの変遷
Kindle Paperwhiteで読みながらチェック
商業出版で苦労したこと
動かしながらコンセプトを待つ
コンセプトと「売る」ことについて
書くためのメンタル
子どもたちにとってはこういう私が普通
多言語学習から得たもの
Part 2 Marieさんの「書くための名前のない技術」
書くための技術とプロセスについて
Point 1: 「すでに書かれた文章」から考える
Point 2: 「すでに書かれた文章」を組み替えることで発想する
Point 3:組み替えながらコンセプトを待つ
書き手としての活動について
Point 4: 必要なら、何度でも自分から動く
メモ
その本にしかない視点、あるはコンセプトがひらめく
最上位階層が決まることによって、シェイクは拡散から収束へと移行します。
はじめから最上位階層が決まっている目次案は、いきなり収束に向かっていると想定できる。
後半の熱量が結構すごい。
頭の中で文章を組み立てることができず、それどころか何について書くか決めることさえできず、書いてみるまで何が出てくるかわからない私は、アウトライナーを通じてはじめて、多少なりとも書くことを身につけられたのです。
今回Marieさんの話を聞きながら思ったのは、Marieさんが極めて感覚的に「ぴかーん」という言葉で表現してくれた「この本にしかない視点(≒コンセプト)がひらめく」瞬間こそが、シェイクが終わりに向かう転換点なのではないかということです。「終わりに向かう」というよりは「収束に向かう」と表現した方が適切かもしれません。
Tak,Marie. The unnamed writing method case 2 Marie (Japanese Edition) (Kindle の位置No.778-781). Tak. Kindle 版.
その本にしかない視点、あるいはコンセプトがひらめく。それはアウトライン的に表現すれば「最上位階層が確定すること」です。ここでいう最上位階層とは、アウトライン全体を包含する単一の項目、いわゆるルートのことです。モデル的にアウトラインで表現すると以下のようになります。
Tak,Marie. The unnamed writing method case 2 Marie (Japanese Edition) (Kindle の位置No.781-784). Tak. Kindle 版.
最上位階層が決まらないままシェイクされるアウトラインは、ひたすら拡散を続けます。しかしひとたび最上位階層が決まると、項目は自然に取捨選択されることになります。すべての項目は最上位階層の要素ということになるので、それ以外の項目は切り捨てられるのです。項目の並び順(つまり文章の流れ)も、最上位階層との関係から考えられるようになります。
Tak,Marie. The unnamed writing method case 2 Marie (Japanese Edition) (Kindle の位置No.788-791). Tak. Kindle 版.
ちなみに「『この人に届け!』というくらいしぼりこむ」というのは、最上位階層に具体的な「人」を置いてみるということになるでしょう。その人に届けるためにはどうするかという視点でアウトラインを考えることで、コンセプトの発見が促されるのです
Tak,Marie. The unnamed writing method case 2 Marie (Japanese Edition) (Kindle の位置No.793-796). Tak. Kindle 版.